「一般」うつ病治療

「一般」うつ病治療

うつ病の治療では、心身の疲弊により低下した脳機能の自己回復力を促進させることが重要です。

状態に応じた治療を

軽症うつ病や診断基準閾値下のうつ状態

休養や気分転換や運動、生活習慣の改善ストレス環境の調整が有効です。精神療法の中では、支持的な関わりが基本となり、認知行動療法的介入が奏功したり、薬物療法が有効な場合もあります。

中等症以上のうつ病

急性期では薬物療法の有効性が確立しています。セロトニンやノルアドレナリン神経系に対する作用を有する抗うつ薬を用い、十分な効果が得られない場合には他の薬理作用を有する薬剤での増強療法が行われます。

重症例

修正型電気痙攣療法(m-ECT)が選択される場合もあります。

遷延例の治療や再発予防

ストレス低減のための対処技法を見直し、健康機能を増進するための生活習慣の改善が重要になります。
なお、継続的な薬物維持療法の重要性は個別の事例性で異なりますが、抗うつ薬による一定の再発予防効果は既に確認されています。また、自己判断での急な薬の中止は思わぬ離脱症候群を伴うリスクもあるため、きちんと医師と相談する必要があります。

精神療法

入院時の精神療法としては、入院担当医師が定期的診察(回診)の中で行う入院精神療法があります。特に典型的なうつ病の方たちは、うつになりやすい考え方のクセ(例えば、完ぺき主義、他人に任せることが出来ないなど)を持っておられることがあります。担当の医師に相談しながら、場合によっては、臨床心理士にも入ってもらい、考え方のクセに気が付き、行動を修正していくやり方を学習していく認知療法・認知行動療法や、分析的手法を用いた標準型精神分析療法、他の精神療法などを行うこともあります。
診察の中で担当医師に、ご自分の症状や抱えている悩みを積極的に伝えて問題を整理し、気持ちを安定させていきましょう。

薬物療法

うつ病の本態は脳内の神経伝達物質の減少と言われています。治療としては、それを増やすようにすれば良いわけです。 実際に抗うつ薬は、下記の図のように神経伝達物質に変化を与えて元気を出すような働きを持つことが分かっていて、その働きを通じて、うつ病を治すと考えられています。

図:抗うつ薬によって神経伝達物質の減少を改善

抗うつ薬の種類によってはさまざまな副作用があります。抗うつ薬の副作用は、服用を開始して最初の1〜2週間に強く出ることが多く、それ以降は症状がおさまってくることがほとんどです。また、抗うつ薬の効果が現れるまでには1~2週間かかることもあるため、初めのうちは副作用だけ感じられることがあります。
「薬を飲んだら帰って具合が悪くなった」と自己判断で治療を中断せず、副作用がつらい場合は医師や薬剤師に相談するようにしてください。

リハビリテーション(作業療法)

精神科入院中に行うリハビリテーションは、作業療法と呼ばれます。作業療法では、新しい生活スタイルを獲得し、ストレスに耐えうる「心と身体の体力を作る」ことを目指します。
入院当初は、患者さん本人が興味が持てて楽しいと思える負荷の少ない作業から取り組みます。そして、各々にとって意味のある作業を用いて、小さな達成感・成功体験を重ね、心の元気へとつなげていきます。回復過程の後半は、患者さんが自身の生活の課題点を振り返る中で、負荷のかかる訓練的な作業療法も行い、自分の傾向・対応策をつかむことを目的としています。

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